いちごの素性

学名 Fragaria×ananassa  フラガリア・アナナッサ


分類


バラ科の多年生草本
農学上では、果物ではなく野菜

(種を蒔いてから1年以内に収穫できるものを野菜と考えている)農林水産省定義

いちごを野菜として取り扱っているのは日本と韓国で、他の国では果物として扱われてます。
日本では、トンネルやハウスなどの野菜的な作業や、苗を植え
収穫が終わると全部捨てて新しい苗を植えているので、生産者から見ても
野菜と同じような扱いになるのです。

ヨーロッパでは、多年性栽培をしています。植えつけてから、数年は収穫しつづけ、何年かしてから株を植え替えしています。
収穫量は、2~4年くらいが最も多くなるそうです。でも、粒は小さくなります。
加工品(ジャムなど)として使われることの多いヨーロッパでは適した栽培方法です。(日本では「芝作り」と呼ばれ、珍しい栽培方法です)

小粒のいちごは日本ではあまり好まれません。
一年で更新するのは、大粒で収穫したいからです。



英名 Strawberry 西名 Fresa  フレサ 
仏名 Fraise  フレーズ 独名 Erdbeere エーアトベーレ
伊名 Fragola  フラーゴラ 中名 草苺   ツァオメイ


原産 アメリカ


語源

江戸時代以前は、いちごといえば野生の木いちごを指した。「日本釈名」によれば、木いちごがイクラやスジコに似て「魚(いお)の血のある子のごとし」に見えることから魚の「い」、血の「ち」、子のごとしの「ご」をとって、いちごと呼ぶようになったという。
また、1月から5月に収穫されるから「いち・ご」といわれるようになった説(駄洒落の域を脱しない。本気で言うと「おやじギャグ」になってしまう。気をつけましょう)もある。(ほんとうに!)


漢字の「苺」は、
 ・乳首のような実がなるのでと言う説
 ・ランナーをのばし子株をたくさん作るからと言う説
  などがある。

Strawberryは

 ・栽培する時に苗の周りにわら(Straw)を敷くからと言う説
 ・わらのように水を吸い上げるところからと言う説
 ・古語の(Strew)「まき散らす、散らばる」からきていると言う説
  などがある。



歴史


13世紀までは、いちごと言うと野生のいちご「野いちご(fraise des bois)」のことでした。
栽培をおこなうようになって大粒のいちごが食べられるようになったのです。
ルイ14世お抱えの農学者ラ・カンティニーはベルサイユの温室でいちごを栽培することに成功しています。
18世紀初頭、ヨーロッパに
実は小さいが濃い赤色で風味良好な
「ヴァージニア苺」(Fragaria virginiana)がアメリカ(北米)から、
実は大きいが色が悪く風味がない
「チロエンシス苺」(Fragaria chiloensis)がチリ(南米)から、
持ち帰りオランダで交配され、オランダ苺が生まれました。

「チロエンシス苺」探検家アントワーヌ・アメデ・フレジェが持ち帰った。
※フレジェって名前のイチゴを使った有名なフランス菓子があったよね。
                                運命的な出会いだったわけだ!


●薬として珍重される
古代ローマ人は苺に病気の治療効果があることを認めていた。
中世の錬金術師は不老長寿の薬と考えていた。
18世紀に100歳余生きたフォントネルは「長寿の秘訣はイチゴのおかげ」と断言している。

                        (新ラルース料理大事典 同朋社)より


日本には江戸時代末期にオランダ人によって持ち込まれた。
そのため、今でもオランダイチゴと呼ぶ場合がある

(出島に?だから九州でイチゴ栽培が盛んなのかな?)


果実 断面図

私たちが普段、果実だと思って食べている部分は、花托(かたく)」と呼ばれています。
本当の果実は種だと思っているゴマ粒状のもの「
痩果(そうか)」と呼ばれるもので、この中に1個の種が入っているそうです。
このような果実のように見えて、じつは果実ではないものを「
偽果(ぎか)」と呼んでいます。

花托は痩果を育てるためのクッションの役目をしています。
痩果がたくさん出来るほどクッション部分(花托)が発達するので、いちごは大きくなります。

受粉が上手くいかないと、痩果が出来ないためイビツないちごができます。

イビツいちご「オー・マイ・ゴットじゃのぅ」



●果皮・・・いちご表面の部分

●果肉・・・いちごのメイン処

●芯・・・空洞のものもある

●ずい・・・白っぽい所。
     硬いいちごもある。
  植物学上は維管束の一部


●維管束(いかんそく)・・・痩果(そうか)まで伸びる白い管。
養分などを運ぶ。

まるで「ヘソの緒」みたい

●へた・・・花のガクの部分


出回り時期 12月〜5月が最盛期。ハウス栽培でほぼ通年出回るが生産量の少ない夏期に、アメリカ産など外国から輸入されている。30年前には、4・5月をピークにした春から初夏の味だったのが、今ではむしろ冬の味で、11月から店頭に顔を見せ、冬から初夏までたっぷり楽しむことができる。(品種改良や栽培技術の向上のおかげだなあ。ありがたいことです。)

産地

作付面積上位7県 栃木、福岡、熊本、静岡、愛知、長崎、茨城、佐賀

 ※ha=ヘクタール 
 面積の単位で、1ヘクタールは10000㎡ (例、100m×100mの土地)
この上位7県で、全国の約49%(ほとんど5割)をしめています。


過去10年間の全国合計
年産 作付面積 10a当たり
収量
収穫量
ha kg t
    13年 7430 2810 208700
14年 7360 2860 210500
15年 7240 2800 202900
16年 7000 2830 198200
17年 6880 2850 196200
18年 6790 2810 190700
19年 6580 2910 191400
20年 6470 2950 190700
21年 6360 2900 184700
22年 6150 2890 177500

作付面積は年々下降していますね。これは苺栽培農家が減っているってこと?(ToT)
生産者の高齢化が主な問題かと・・・前年比マイナス3%です。
私たち消費者が、もっと応援できる仕組みが必要なのかな。


平成22年度の10a当たり収量
都道府県 10aあたり
収量(kg)
栃木県 4370
佐賀県 3980
長崎県 3830
福岡県 3740
愛知県 3440
熊本県 3400
茨城県 3310
宮城県 3310

「10a当たりの収量」を簡単にいうと
どれだけイチゴを収穫する力があるのか?ってこと。
上位になればなるほど、
栽培品種」「栽培技術」「栽培環境」などの条件が
すぐれていると考えられるのかな(^^)b

栃木県はスゴいね!
日本の平均が、2890kg/10aのところ
栃木県は、4370kg/10aですからね。
他県と比較しても、一歩リードしていると言えるでしょう。


なんで、こんなに差が出来ちゃうんだろう?
もしかして、スゴイ
からくりがあったりして・・・(^^;


市場


●「女峰」「とよのか」二強時代から優良品種多様化時代、そして・・・
       
ブランド苺の戦国時代へ
いちごの生産量は、品種改良とハウス栽培の発展により1960年代から飛躍的に増加。
アメリカからの
ダナーに始まり、幸玉(こうぎょく)宝交早生はるのかなどのスターが誕生。
80年代は、東の「
女峰」、西の「とよのか」、2000年代には「とちおとめ」、「あまおう」、「さちのか」など、いくつかの品種に人気が集まりました。
しかし今、各出荷団体は独自の「ブランド苺」に力を入れはじめています。
代表的なものに、徳島県佐那河内産の「
ももいちご」があります。品種は「あかねっ娘」ですが、独自の栽培方法や出荷方法、ネーミングを工夫し、ブランド力を上げて成功した例です。
今では、いくつかの出荷団体や個人農家が、差別化を図ったブランド苺の販売を始めています。近い将来、聞いたことの無いブランド苺たちが、スーパーの苺売り場を埋め尽くす日が、来るかもしれませんね。(^^)
どんな苺が勝ち残るのか!?まさに戦国時代です!

「品種の寿命」
人の好みは時代によって移り変わっていく(※目新しいものが好まれる。)ので、1品種20年前後が流通上の寿命とされています。その対応として、
品種の改良品質向上が必要とされ、各地で続々と新品種や新ブランドが登場しています。

今、栽培されている品種は100種類ほどあるが、市場に流通しているのは20~30種類ほど。


お菓子



 ●いちごとショートケーキ
日本でショートケーキといえばフワフワと優しく焼き上げたスポンジにたっぷりの生クリームと苺をはさみ、てっぺんに真っ赤なイチゴ。どこのケーキ屋さんにも必ずある定番のケーキ。食べたことが無い人はいないんじゃないでしょうか。別のフルーツで作ったショートケーキもあるけど、やっぱり、ショートケーキはイチゴのショートケーキで決まりでしょ(^^)

ショートケーキのショートは、「サクサク」「崩れやすい」「もろい」という意味のショートからきているという説があります。現に海外でショートケーキと言うと、パイやクッキーのようなサクサクした生地を生クリームで挟んだケーキのことを言うそうです。
また、ショートニングをつかってスポンジを焼いたからという説もあるそうです。


売られだしたのは東京や横浜で洋菓子を売っていた不二家やコロンバンが大正時代末期に始めたといわれています。ちょうどこのころ生クリーム製造機が日本に入ってきています。生クリームがなきゃ始まりませんものね(^^)

日本のショートケーキは日本人の好むカステラのようなスポンジ生地に生クリーム。
つまり、日本人のために考え出されたケーキなのです。人気があるのも当たり前か!

しかし、一般的に食べ始められたのは冷蔵設備(ショーケース)が普及した昭和30年以降で、経済復興とともに人々の生活にもゆとりが出てきたころと重なります。

余談:昭和20年代中ごろ、千疋屋のショートケーキは一個900円したそうで、現在の相場では1万円以上ということになります。たべられねぇ(><;



どんどん増殖中!(もうしばらくお待ちください)

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